Sunday, September 24, 2006

酒・タバコって本当に悪いの?

酒・タバコって本当に悪いの?
橋内 章著
真興交易医書出版部 (2005.11)


この週末,おもしろい本を見つけてしまい,結構夢中で読みました。とはいってもまだ,かいつまんで読んだだけですが。しかしお酒とタバコについて考えさせられる本です。酒/タバコについて,その害のみを述べるだけでなく,効能についても医学博士の視点で冷静に分析しているというものです。

しかも,「一度でも喫煙経験のある人は(長生きするという点では)禁煙は効果無し,あるいは逆効果」なんてことを,調査/統計資料から考察していて,ちょっと衝撃的。

さらにおもしろいのは,「ガンの原因はほんとうにタバコなのでしょうか?」と,今や常識とされていることに切り込んで,問題提起しているところです。

その昔,「胃潰瘍の原因は酒」と言われていた時代があったそうです。そのころの笑い話としては,「胃潰瘍の患者は酒を飲むが,そうした患者はたいてい,理由として『痛みがやわらぐから』と言い訳する」というものがあったそうです。これ,当時の医者のあいだで結構有名な話題(ネタ)だったそうです。

しかし,今や,胃潰瘍の原因は酒ではなく,ストレスということが明らかになっている。つまり酒と胃潰瘍は原因と結果の関係ではなく,どちらもストレスという第3の因子(原因)の結果に過ぎないことがわかっているとのことです。ストレスのある人は胃潰瘍になるし,ストレスのある人は酒も飲む。しかも酒を飲むと胃潰瘍の痛みが緩和されるということも医学的に事実で,患者にとしては経験則で酒を飲んでしまうというというのは,ごく自然な行為なのだそうです。当時これらの関係が誤解されてたということですね。

で,このことをガンに当てはめてみたのがこの本のおもしろい点です。つまり肺ガンなどのガンの原因は果たしてタバコなんでしょうか? という問題提起です。実はそこには第3の因子があって,それによって,ガンと喫煙を促進するのではないか。ガンも喫煙も実は単なる結果なのではないか・・ということです。

ちょっとおもしろい考え方ではないですか? しかもタバコを吸うと頭の回転が速くなって作業効率も上がるなんてデータもあって,喫煙者にとってはありがたい本かもしれません。

さて,その「第3の因子」とはなんなのか? そこまで書くとネタばらしになってしまうので,ここでは割愛します。それと,お酒についてもいろいろ述べられています。お酒はタバコより害がなく効能もあると言われていますが,実はタバコよりも中毒性があって危険。でも効果もある。。なんて話も・・・

お酒/タバコ好きな人にはなかなかおもしろいかもしれません。ちょっと怖いけど明るくもなるーー。そんな感じの不思議な本です。